それでもライオン航空(Lion Air)を選ぶ理由

2018年10月29日日本時間朝8時過ぎに格安航空会社のライオン航空(Lion Air)のジャカルタ発パンカルピナン行きのJT610が離陸後約13分後に消息を絶ち、墜落しました。

2018年10月29日のライオン航空サイトの様子。墜落の犠牲者への緊急連絡先などを記載中。

非常に痛ましい事件であり、可能であれば一人でも多く命が助かっていればと思います。

特に2018年には例年の洪水だけではなく、ロンボク島の地震、スラウェシのパルの津波など痛ましい事件が多く起きた中での航空機墜落でインドネシア人にとっても非常にショックとインパクトの強い事件となってしまいました。

実際にはライオン航空には不祥事も多く、記憶に新しいところでは2013年にバリ島の空港で着陸時にオーバーランし、機体は真っ二つに割れ、乗客多数が怪我をした事故がありました。

また、パイロットが麻薬使用で捕まったりと会社のガバナンスが取れてないのでは?思うことも多々ある航空会社なのです。

日本人にとってみれば、「あぁ、安かろう悪かろう、所詮、東南アジアの格安航空会社でしょ?」と思う人も多いかと思いますし、それに対しては異論もありませんし、そうなのかもしれません。

ただ、インドネシア人にとって、いや、インドネシア在住する人にとってサービスの良し悪しは別として、ライオン航空自体は非常に重宝していたことは事実ですし、今回の事件により利用しにくくなることは非常に複雑なのです。

私もジャカルタで空港に置いてけぼりにされた苦い思い出もありますが、ライオン航空の恩恵に授かって来た人間の一人であります。

今回墜落はしたものの、今後もインドネシア人はライオン航空を使い続けるでしょう。

今回は、なぜインドネシア人が今後もライオン航空を使い続けると言えるのかをご紹介します。

LCCだから航空賃(チケット)が安い

国全体の給料が上がって来ているもののやはり国民の大半が経済的に恵まれているとは言えず、地域による経済格差が大きいインドネシアでは、都市部への出稼ぎ労働者が非常に多いです。

そんな出稼ぎ労働者が都市部に出てくる時に使う交通インフラの一つが飛行機になります。

都市部に出稼ぎに行くぐらいですので、経済的に苦しいのは言わずもがな、少しでもコストを下げたいのが彼らの本音です。

しかし、インドネシア国営航空会社、つまり高級航空会社であるガルーダ航空に乗ることは金銭面において選択肢には入らないのです。

例えばですが、ジャカルタとバリ島への往復の航空券の値段を見てましょう。

上は一例ですが、ライオンとガルーダ航空で一番安いチケットを確認したところ、約1.4倍の差、日本円で約5000円の差がありました。

日本人にとっては往復で5000円の差は大したことがないかもしれませんが、インドネシアでは死活問題です。最低賃金が約2万円の人が給料の25%の大金をポンと払えるわけでありません。

それよりもたった1時間だから安い航空会社でいいやと思う人が多いでしょう。

また、出稼ぎ先でお金を稼ぎ久しぶりに里帰りするときも同じことを考えるでしょう。

ましては出稼ぎ先で家族ができた日には田舎に帰省するのも金銭的に一苦労です。1人でも5000円の差があるのに配偶者と子供2人の航空券を買うとなるとガルーダ航空では1ヶ月分の給料に近い金額の差があるのです。

つまり、インドネシア人にとっては金銭的にもライオン航空は「アリ」な選択肢なのです。それがたとえ安かろう、悪かろう、リスクが高かろうであったとしても。

マイナーな空港に就航している

ライオン航空を使用しなくてはいけないもう一つの理由にマイナーな空港に就航しているということが挙げられます。

今回のジャカルタ発パンカルピナン行きもそうですが、ジャカルタからパンカルピナンの直通便はライオン航空とCITILINK航空(LCC)しかありません。

ガルーダ航空の場合は他の空港で乗り継ぎが必要で、正直非常に不便であり、お金に余裕がある人であっても、1時間のフライトならばライオン航空で我慢しようとなるのです。

このようにガルーダ航空がビジネス上の理由で直通就航していない空港へのスキマ直通就航をしているのがライオン航空であったりするので。

ちなみに先述のCITILINK航空はガルーダの子会社であるものの、リスク的にはライオン航空とそこまで変わらないと思っています。

私ごとで恐縮ですが、私がCITILINKを使用した翌日にCITILINKパイロットが酒気帯び(泥酔)状態で運転しようとし空港警備員に止めれたそうで、ガバナンスができていないのは同等レベルだと思います。

マイナー空港への利便性を考えるとライオン航空は「アリ」な選択肢です。JT610便の乗客にも事情があるのではないでしょうか?

終わりに

正直なところ、いつかライオン航空は不祥事を再発させると思っていましたが、まさか最悪の事件を起こすとは夢にも思っていませんでした。

ただ、ライオン航空を選ぶインドネシア人も数多くいること、彼らそれぞれに事情があるのも事実なのです。

インドネシア在住者としては兎にも角にも一人でも多くの人が助かり、原因究明を早急に進め徹底的な再発防止を願うまでです。

2 Responses to “それでもライオン航空(Lion Air)を選ぶ理由”

  1. om より:

    寛容さと適当さの裏返しならば、仕方ないのかも知れません。

    日本の厳格さと規範遵守の裏返しの方が、遥かに人命を奪っている気も。

    何年か前にインドネシア人に言われました。
    「心は日本人より余程健康ですよ」

    • chuzaisince25 より:

      om様、

      コメントありがとうございます。

      確かに日本人より心は健全な感じがしますよね。。。日本は便利さと規律の為に心を捧げているような気がします。。。

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