インドネシアの高速鉄道が日本に受注されなくてよかったと思う3つの理由。

中国案が採用されたジャカルタとバンドン間を結ぶ高速鉄道計画ですが、私は日本は受注できなくて正解だったのではないかと思っています。

もちろん、日本が国家をあげて受注した案件であるし、地質調査などお金も掛けた分、残念ではありますが、受注できなくてよかったと思う日が絶対来ると思うのです。

あくまでも個人的見解ですが、私が思う受注されなくてよかった3つの理由を紹介させていただきます。

インドネシアが中国の高速鉄道を採用した本当の理由。

ジャカルタ・バンドン間には既に電車があり、2時間短縮しても別に有り難くない。

高速鉄道ばかりが注目されていますが、そもそもジャカルタ・バンドン間には既に普通電車があるのです。所要時間約3時間とのことで、到着が遅れることもあるみたいですが、友人との約束も平気で1〜2時間遅れてくる様な人たちにはあまり関係ないようです。

そんな時間にルーズな人たちが、「3時間かかるところが1時間になった!是非利用しよう!」という発想にはならないと思います。まして、その2時間の為におそらく高額となる運賃を支払って乗る人は一部の裕福層だけでしょう。

ちなみにバンドンの最低賃金は日本円で2万3千円程ですから、高速鉄道で往復すると1ヶ月の給料がすっ飛ぶぐらいの運賃になると思います。それなら普通電車で移動するのが平均的なインドネシア人の行動だと思います。

バンドンの人口は250万人で、今後、伸びると考えても京都府と同じぐらいの人口です。東京と京都を高速でつなげば、外国人観光客も多く誘致できそうですが、バンドンは京都ほどのネームバリューもない都市、果たしてそんな街をつなげてインドネシアとして、高速鉄道の元がとれるんでしょうか?

つまり完成しても、利用者は限られ、乗車率も上がらず赤字経営になるのではと思います。

財政的にキツくなり、途中で頓挫することが目に見えている

インドネシアに来てみるとよくわかりますが、インドネシアには建設途中の建物が街中に溢れています。これは、建設途中で資金が底をついたという理由が大半で、日本ではあり得ない話です。またインドネシアでは仕事をしやすくする為に、役人に袖の下を渡すことが暗黙の了解になっており、建設費とは別の資金も必要なのです。

一番良い例がジャカルタの都市モノレール計画です。ジャカルタの市内に全長29kmのモノレールを作ろうとしたこの計画は2004年に始まり、2008年に計画を一度中止、その後再開したが、2015年に経済的、法的な理由により、計画が中止され二度と再開することはないだろうと発表されました。

今でもジャカルタにはモノレール計画の「遺物」の柱や支柱が残っており、今後の計画など明確になっていません。29kmのモノレールすら計画的に作れない国が140kmの高速鉄道を計画的かつ資金切れを起こさずに建設できるのか、甚だ疑問です。

建設することになっても、日本の比ではないぐらい計画通りに進まず、結局資金繰りに困り最後までやり遂げられないと思います。

インドネシア人をなめない方が良い

インドネシア人の悪口を書くようで非常に恐縮ですが、インドネシア人の仕事のマネージメントの難さを舐めると痛い目に遭います。

中国が受注に成功し、インドネシア人を雇用し建設すると言っていますが、インドネシア人をキッチリと言われた通りにマネージするのは相当難易度が高いと思います。特にジャワ島での計画のため、ジャワ人が多く採用されると思いますが、彼らは仕事の上でちょっとクセがあるので時間+計画通りに動かすのは至難の技だと思います。期日通りに着工+建設終了はあり得ず、余計な資金がかかると思います。

日本の各方面では「中国の新幹線は安全性に問題がある!止めた方が良い!」とコメントが見られますが、正直なところ「40人/2.5億人」の方々が亡くなっても、「どうでもいい」と思うのがインドネシアだと思います。だってお金持ちの人たちは、自分たちよりお金を持っていない人たちを事故で殺してしまっても、「残された遺族を一生養います」と言って、解決してしまいます。もらった方も悲しみはするが、正直助かったと思っている人もいるみたいです。

つまり、インドネシアの人たちは安全性よりもコストと時間が大切なんだと思います。日本の「安全第一!」という基本的な考えと、もともと相容れないのです。

駐在数年目で偉そうに言わせてもらいますが、インドネシア人の考えや行動は日本人の常識外のことが沢山あります。それも考慮しないと痛い目を見るのは日本なのです。

日本はメンツを潰されたが、これで良かったと思う。が、やるべきことはしっかりやるべき。

数年前からインドネシアと協力してきた、高速鉄道計画ですが、ある意味では最後にインドネシアに裏切られ日本人のプライドを傷つけられ正直悔しいですが、これはこれで良かったと思います。

一方で日本のデータがインドネシアを通して中国側に漏れたという報道が出ていますが、これに関しては、該当者がクビになるまで徹底的にインドネシア政府に圧力をかけべきだと思います。

情報が漏れているということは、一部の人間に中国側から提供しろとお小遣いをもらったんだと思うのが普通。ジョコウィ大統領は汚職撲滅を掲げていますから、そこはあまり触れられたくないところだと思いますが、今後の日本とインドネシアの関係の為にも筋は通してもらいたいものです。

何はともあれ、インドネシア在住者としては今後とも高速鉄道のニュースから目が離せません!

 

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