バリとロンボクを分けるロマンチックな線。

インドネシアは非常に自然豊かな国ということに文句がある方はいないでしょう

実は面白いことにインドネシアは1つの国内に2つの生物分布があるのです。

少し分かりづらいかもしれませんが、簡単にいうと、ある線を越えると住んでいる動物が全然違うのです。

今回は少し難しい内容かもしれませんが、意外とロマンチックなお話です。

ウォレス線とは?

高校や大学で生物を習っていた方には常識かもしれませんが、インドネシア国内には「ウォレス線」という非常に有名(?)な線があります。

これは生物進化論で有名なダーウィンと同等に有名なアルフレッド・ラッセル・ウォレス氏が、この線を境に昆虫、鳥類、他の動物の分布がガラリと変わることを発見しました。


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左側の動物が東洋区、右がオーストラリア区の動物

有名な境界線はバリ島とロンボク島の間

バリ島とロンボク島の間は40kmで船で簡単に渡れる距離ですが、この二つの島に行ったことがある方は気がついたかもしれませんが、この二つの島の生物分布が全く違うのです。

この線を挟んで西側(ジャワ島、スマトラ島、ボルネオ島など)が東洋区(ユーラシア)、東側(スラウェシ島、パプア島など)がオーストラリア区と分けられ、生物の分布が劇的に変わるのです。


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ウォレス線の境界

西側はオランウータンを始めスマトラトラ、サイなどユーラシア大陸で見られる動物が生息しています。

一方で東側はコモドドラゴンや有袋類(袋を持った動物)が生息しているのです。

泳いで渡れないの?

バリ島とロンボク島の間には強い海流が流れており、象などの長距離を泳げる動物でも渡りきることができません。

一方、鳥は空を飛ぶためにウォーレス線を超えていけそうですが、植生が違うためか分布が異なることを先出のウォレス氏が発見しました。

人間も違う??

この線を境にインドネシア人も違ったりします。西側はジャワ、スマトラ、マレー人などですが、東側になるとオーストラリアのアボリジニーに見た目が似ています。


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パプア人

そういう意味ではインドネシアを東と西で同じ国にするのは無理があるのかもしれませんね。実際に東ティモールは独立しましたし。

理由は氷期までさかのぼる?

むかしむかし、世界がまだ寒かった頃、海水面は今よりも低く、マレー半島からボルネオ、スマトラ、ジャワ、そしてバリ島まで陸続きだったそうです(ユーラシアプレート)。

しかし、バリ以東(ジャワ島の南も)はインド・オーストラリアプレートのため、ユーラシア大陸プレートとその間には深い海峡があるのです。そのため今までも陸続きになったことがないのです(プレートテクトニクスが起こる前は一つの大陸と言われていますが)。

そのため、ウォレス線を隔てて、独自の生態系を築き今にいるわけです。

インドネシアには生物の歴史がつまっている

近年インドネシアはビジネスや投資の対象として注目を集めることが多いですが、実はこんなにも自然が豊かで生物の歴史の秘密を解き明かすのに重要な国なのです。旅行時にはこんなことを気にしてみると面白いかもしれません。

いつものカオスなインドネシアとはちょっと違うインドネシアを知っていただければ幸いです。

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