インドネシアの買収は善なのか悪なのか?
先日、インドネシア在住者のブログにてこんな記事(インドネシアの警察官が交通違反をお金でもみ消す一部始終、衝撃の5分映像)がありましたのでご紹介させていただきます。
この記事にも記載ありますが、何を隠そう、インドネシアと言えば買収、買収といえばインドネシア言うぐらい、インドネシアでは買収が日常茶飯事に起きています。
まずは誤解なく、私は買収反対ではありますが、ある意味インドネシアの文化・伝統に近いものだと思っています。
Twitterでもシェアさせていただきましたが、会社の従業員は警察に逆走罪(笑)で捕まった際にタバコ3つで許してもらったそうです。
その他にもバイクのミラー付けてなくて10万ルピア渡したとか、左折車線で右折したら捕まって20万ルピアで許してもらったとか、停止車線超えて停車し交差点の警察に捕まって10万ルピアでヨイショしてもらった等など、警察を買収したエピソードは枚挙に暇がありません。
さて、そんな警察を買収する事はインドネシア人にとっては「悪」なのでしょうか?
実は必ずしもそれが「悪」とは言えないのがインドネシアの実情なのです。
そもそもなぜこんなにも警察買収が多発するのか?
そもそもなぜこんなにインドネシアでは買収だらけなのでしょうか?
それは警察官の給料が笑えないほど安いからです。
この表はインドネシア警察の2015年度の給料表ですが、入隊したて警察官の給料は約150万ルピア(1万5千円程度)です、安すぎます。ジャカルタの最低賃金は300万ルピア程ですから、その半分の給料という訳です。
高官になっても560万ルピア(5万6千円程度)の給料、夢も希望もない給料等級表ですね。工場のオペレータレベルでも残業を駆使すればこれぐらいの給料に届く可能性があります。
こんな台所事情があるからこそ、警察官は街中で稼ぎ、高官になると予算から拝借となり生活費を稼ぎ、真面目であればあるほど馬鹿を見るのがインドネシアなのです。
買収はつまり、Win-Winソリューション
これは実際に買収した事がある人に伺った話ですが、買収する側は警察に捕まった段階で自分が悪い事をしているという自覚が確実にあるそうです。
ですので捕まった瞬間はとりあえず謝りまくり、警察も表面上は凄い怒ってくるそうです。
インドネシア人はプライドが高い人が多いので、警察から買収を持ちかけさせないように捕まった側から買収を持ちかけ、「しょうがないなぁ〜〜〜、そこまで言うなら」という形で買収が成立するらしいです(もっとも、本当にプライドが高かったら買収されないと思いますが。。。)。
つまり警察は可哀想だから仕方なく応じてあげたという雰囲気に持って行くらしいです。
私は「君は買収は善い事だと思う?」と伺ってみると、
「ダメな事だとは分かっているけれども、通常の交通違反で捕まった場合、警察に出頭する為に1日休まないとダメだし(給料が減る)、罰金も取られて、免許の点も減らされる。罰金だってどうせ役人のポケットに入って道路が良くなる訳ではない、それならば買収した方がメリットが高いと思うんです。さらに、給料少ない警察をBantu (助ける)する意味合いもあるんだから、不幸になる人はいないWin-Winじゃないですか」と。
買収の善悪はひとまずおいておいて、彼が言っている事は非常に理にかなっており、その気持ちわからないでもない。
追い打ちをかけるように彼は言いました
「警察は悪い人じゃないから、人を見て買収金額を決めるんですよ、若い女の子とかお金を持っていなそうな人はタバコ数箱で許してくれる事もあるし、そもそもバイクのメンテ状況を見てお金を持っていない人はそもそも捕まえないんですよ。日本人は高いと思うから気をつけてね!」
と、余計な台詞付ける程、インドネシアでは日常茶飯事の問題解決方法なのです。
インドネシアの買収はなくならない
こんな事を言っては何ですが、インドネシアの警察買収は警察や公務員の給料が極端に上がらない限り続くでしょう。もっとも公務員の給料は上がるとは思えません、つまり今後も買収はインドネシアで普通の事として残るでしょう。
ちなみに、インドネシア人が口を揃えて私に確認する事があります、
「日本でも買収は普通にあるでしょ?」
はい、ありません。やったら賄賂罪で捕まります。どこの国でも買収が普通にあると思っているインドネシア人達、末恐ろしい。
インドネシアの買収を本当になくしたいのであれば、全インドネシア人がしっかりと交通ルールを守る事が大切だと思います。
と、友人はそのままノーヘルで立ち去って行きました、それを見て、捕まってしまえと思う私。